再びカテゴリ追加。
『story』が増えてきたので、『short short story』と『short long story』をサブカテゴリに追加しました。
それ以外は、続き物や、結構長い奴です。
といっても、私のは基本的に短いので、相対的な問題ですがw
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『story』が増えてきたので、『short short story』と『short long story』をサブカテゴリに追加しました。
それ以外は、続き物や、結構長い奴です。
といっても、私のは基本的に短いので、相対的な問題ですがw
「どうしてお化粧するの?」
幼い頃、母に尋ねたことがある。
「それはね」
母は、にっこりと笑った。
「お化粧すると、悲しいこともつらいことも、みーんな忘れられるからよ」
当時は、まだ幼すぎて、言葉の真意を理解することはできなかったけれど、今なら分かる気がする。
母は、父の正妻ではなかった。
つまり私は、世間で言うところのお妾さんの子どもと言うことになる。
父親がいないと言うこと以外、平凡な家庭で育ったと自分では思っている。
別段、貧しくも豊かでもない生活をしていたと思う。母が夜遅くまであくせく働いていたとか、水商売をしていたとか、学校から帰るとテーブルの上に手紙とラップをかけた夕飯がおいてあるとか、そんなことはなかった。学校も高校まで公立だったし、短大も、歴史だけが取り柄のような平凡なところだった。
けれども、母は私が義務教育を終了するまでパートにすら出たことがなかった。
つまり、父からそれなりの援助をもらっていたと言うことだろう。
そうでなければ、母はもっと必死になって働かなければならなかっただろうから。
子どもを育てると言うことは、意外とお金がかかるものなのだ。
あの頃の母と、同じ歳になった私は今、涙でにじんだアイラインを直し、マスカラを塗り直している。口紅を引き直すと、鏡に向かって微笑んだ。
「もう、大丈夫」
私は化粧ポーチを鞄にしまうと、テーブルへと戻った。
妻子のある彼との、別れ話を再開するために。