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2008年3月20日

惨劇

世の中いろいろと物騒だと思います。
日本は平和な方だと思ってはいたのですが。

此処から――――――――――

彼が殺された。
わたしの目の前で頭を打ち付けられて。
目が覚めたら知らない場所にいて
彼はわたしの目の前にいた。
知らない男が彼の頭を掴んで、打ち付けたんだ。
そのまま男は、彼のハラワタをえぐり出した。
わたしはそれを見ていた。
ずっと。
最初から最期まで。
男がこっちを見た。
次はわたしの番だ。
わたしは覚悟を決めた。

「ちくしょー。言うことを聞けってば。このやろ、おとなしくしろって」
大将が何かわめいている。
「大将どーしたの?」
「あー、そのちゃんかい。こいつがよー、言うこと聞かないんだー」
見ると大将は鰻をさばこうとしているところだった。
頭を釘で固定されているのにも関わらず暴れまわっている。
「元気のいい鰻だね。いただこうかな」
「おー、待ってろ。とっととさばいて焼いてやるからな」
そう言うと大将は、鰻の腹に包丁を差して一文字に切り裂いた。

2008年3月 6日

卒業論文

もうすぐ大学も卒業式です。
そろそろ開放されたのかな?
ということで、苑子さんシリーズ

卒業論文
『誰が死体を埋めたのか』
全城大学人間学部民俗学科
宮嶋苑子

桜の木の下には死体が埋まっている。
あまりにも有名な伝承で、過去の文豪たちも自作に取り入れている。
しかし、かの有名なファストフード店の挽肉の都市伝説にも発祥となった理由がある。どんな伝承にも発端があるはずだ。そこで、『桜の木の下の死体』の発端について考察を行う。

まず考えられる理由として、実際に埋めた、もしくは埋まっていたという可能性が挙げられる。あまりにそのままであるが、現実とは案外、この程度のものである。
かの西行法師も、愛した女性の骸を桜の気の下に埋めたという説もある。もっとも、これについての真偽のほどは定かでなく、伝承を元にした作り話の可能性は捨てきれない。

次に、桜の色からの連想が考えられる。花びらは葉の変形したものであり、師管と導管が通っている。このため、赤インクを垂らした水を花瓶に入れ、そこに白い花を挿すと花は赤くなる。根から吸い上げた血液は、樹の全身を巡り、やがて枝先へと到達する。花びらの数はあまりに多く、わずかにその色を紅く染めるに過ぎない。
そんな想像を、かつて誰かがしたのかもしれない。

3つ目に考えられる理由は花霞にある。例えば夜。ぼんやりと見える桜の枝。白く、淡く、まるでそこに幽霊が立っているかのように。そこから、根元に埋められた浮かばれない存在を想像したのだろうか。

どれが真実なのか、どれかは真実なのか、現在となっては知るすべがない。しかし、自分にとって大切だった存在は、美しい場所に葬りたいと思うのが人間の性である。そう、例えば桜の樹の真下のように。