June 2011

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

卒業論文

もうすぐ大学も卒業式です。
そろそろ開放されたのかな?
ということで、苑子さんシリーズ

卒業論文
『誰が死体を埋めたのか』
全城大学人間学部民俗学科
宮嶋苑子

桜の木の下には死体が埋まっている。
あまりにも有名な伝承で、過去の文豪たちも自作に取り入れている。
しかし、かの有名なファストフード店の挽肉の都市伝説にも発祥となった理由がある。どんな伝承にも発端があるはずだ。そこで、『桜の木の下の死体』の発端について考察を行う。

まず考えられる理由として、実際に埋めた、もしくは埋まっていたという可能性が挙げられる。あまりにそのままであるが、現実とは案外、この程度のものである。
かの西行法師も、愛した女性の骸を桜の気の下に埋めたという説もある。もっとも、これについての真偽のほどは定かでなく、伝承を元にした作り話の可能性は捨てきれない。

次に、桜の色からの連想が考えられる。花びらは葉の変形したものであり、師管と導管が通っている。このため、赤インクを垂らした水を花瓶に入れ、そこに白い花を挿すと花は赤くなる。根から吸い上げた血液は、樹の全身を巡り、やがて枝先へと到達する。花びらの数はあまりに多く、わずかにその色を紅く染めるに過ぎない。
そんな想像を、かつて誰かがしたのかもしれない。

3つ目に考えられる理由は花霞にある。例えば夜。ぼんやりと見える桜の枝。白く、淡く、まるでそこに幽霊が立っているかのように。そこから、根元に埋められた浮かばれない存在を想像したのだろうか。

どれが真実なのか、どれかは真実なのか、現在となっては知るすべがない。しかし、自分にとって大切だった存在は、美しい場所に葬りたいと思うのが人間の性である。そう、例えば桜の樹の真下のように。

comment form for this entry

Trackback URL this entry

http://color-chips.xsrv.jp/mt5/mt-tb.cgi/1059