夏はどこへ行った
クローゼットの奥からコートを取り出す。
いつの間にか、外は寒くなっていた。
私が気づかない間にも、季節は巡っているようだ。
考えてみれば、配属が決まった時はまだ、コートを着ていたはずだ。
それをいつの間にか脱いで、奥へとしまい込んで。
コートを脱いでからは、あっという間だった。
夏にある試験に向けて、日々はめまぐるしく駆け抜けていった。
それが終わったら、何らかの答えが出ると信じたままで。
けれども、夏が終わって、何も答えは出ていなかった。
否、何も残っていなかった。
夏が、すべてを連れ去った。