鴨川奇譚 第二話
「おまっ、こんなところで何して…、いい、とにかく中入れ」
ソノコは部屋に入るとベッドの縁に腰を下ろした。
「ソノコ」
何?とでも言いたげにこちらを見る。
「どうやってここまで来た?」
「…」
「とりあえず家に連絡するからな。みんな心配してると思うし」
好きにすればいい。そう言うかのようにソノコはそっぽを向いた。
「あ、もしもし。うん。ソノコがうちに来てるんだけど。え、うん、そう。明日連れて帰るから。うん、分かった」
家に電話して、ソノコの無事を伝える。そうしないと、今夜はおそらく家族総出の夜通し捜索となっただろう。ソノコは家族から溺愛されているのだ。
「ほれ、とりあえず水」
カップに入った水をテーブルに置くと、ソノコはそれを飲み、口を開いた。
「ぴー」
(完) 家出してきたインコ