旅立ちの日に
遅くなりましたが、いつぞや予告した『卒業』ものです。
結局、高校時代に書いたものの焼き直しですが(汗)。
3月中なので、大目に見てくださいw
此処から―――――――――――――――――――――――――
卒業生、退場。
拍手と共に見送られ、私の高校生活は幕を降ろした。
担任とクラスメイトとの挨拶をそこそこに済ませ、気の合う友達とファミレスへと繰り出す。クラスの同窓会ごっこより、その方が有意義な時間の使い方に思われたから。
あっと言う間だよね。高校なんて。
恋のひとつもしたかったなー。
違うでしょー。彼氏の一人も欲しかったが本音のくせにー。
あはは、ばれた?
他愛のない会話。
私達は4月からそれぞれ別の道を行く。こんな風に集まれるのも最後かもしれない。
ごめっ、ロッカに辞書置きっぱだ。取ってくる。
私は立ち上がり、止める声も聞かず飛び出した。
当然、下駄箱は空だ。靴下のまま階段を駆け上がり、教室へ向かう。
窓から外を見下ろしながら“彼女”はいた。
来たんだね。
間に合ったかな…?
まぁね。
“彼女”はこちらを向いた。逆光でシルエットになる。
よく、放課後ここで泣いてたね。
昔の話。
ハンド部の練習、飽きずに見てた。
飽きなかったね。
ここから飛ぼうとしてた。
それは言わないで。
“彼女”と私は顔を見合わせて笑った。
お別れ、だ。
ごめんね。
気にすんな。幸せになれよ。
ありがと。ずっとここにいるの?
いーや。も少しだけ。
そか。元気でね。
あんたもな。
あ、いたいた!
振り向くと友人がいた。
ちっとも戻って来ないから来ちゃったよ。何してるの?ひとりで。
学び舎に名残を惜しんでたのー。
さっ、戻ろう。みんな待ってるよ。
さよなら、あの頃の私。
私はこっそりと“彼女”に別れを告げた。