« ある空の下 ver.2 | メイン | 受話器の向こうで。 »

ある空の下 ver.3

ラストが微妙です。
もともと歌詞を入れてましたが、いろいろとまずい気がして。
消しただけで帳尻合わせてない(をぃ)。

此処から―――――――――――――――――――――――――

カリン

 私が彼氏と別れた次の日、どこから聞きつけたのか直美と小夏が訪ねてきた。
「ついに別れたんだって?」床にぺたりと腰を下ろした直美が言う。「何時間もったの?」
「24時間以内なら直美の勝ち。75時間以内ならボクの勝ち。トトカルチョしてたんだけど」
この二人は私の恋愛を玩具にしてる。
「3週間はもったわ、一応。だから二人とも負けよ。今度なんかゴチしてね」
なんだか腹立たしいので言い返してやる。
「でも、ぜんぜん後悔とかそういうのがないよね」
「そりゃぁ、だって花梨は好きで付き合ったんじゃないんだもの。一種、当然の結末でしょう」
尋ねた小夏を見下したような口調で直美が言った。
ダッテカリンハスキデツキアッタンジャナインダモノ
「それに、前の片思いの相手の親友でしょう?普通、辛いって」
「そりゃそうだ」
 二人ともどうして別れたのかを尋ねてこない。
 最初から別れるつもりだったと思ってるのだ。
「性格の不一致よ」それが理由だといってやりたいがやめにする。ワン・ワードに還元するとそうだけど、細かく話すと長くなるからだ。
 彼は私のことを何も見てはくれなかった。
 優しくて、親切で、お人好しで、純真無垢、清廉潔白な、可憐な女の子だと信じて疑わなかった。守ってあげたいって思うような、か弱い女の子だと。
 私の欠点からは目をそらし、現実ではないと言わんばかりだった。
 優しくて、頼りがいのある彼氏というのをやりたがった。
 だから結局、純真無垢でも清廉潔白でも、可憐でも、か弱くもない私とはギクシャクしていた。
 だって、頼ってもらえないんだもの。
彼は暗に、自分に頼るよう強要してきた。
「まぁ、とんでもない男に好かれちゃったことだけは確かね、花梨。星の数ほど男はいるんだからまた次を探しなよ」
「そうそう。元気出して」
直美と小夏が口を揃えてそう言ったので、私は立ち上がった。
「私があの程度の男とつりあうとでも思って?身の程知らずも甚だしいわ。それにそこまで飢えてる訳じゃないもの。別れてせいせいしてるわよ」
それだけ言うとベランダのサッシをあける。今日も空は青い。そしてそれを見上げて大きな声で歌を歌う。マイナだけど私の大好きなアーティストの曲だ。

直美と小夏は驚いたように顔を見合わせたが、立ち上がって私と一緒に歌い始める。
 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://color-chips.xsrv.jp/mt5/mt-tb.cgi/1031

コメントを投稿