wall of mine
もう、随分と昔の話だ。
私がまだ、学生だった頃の話。
今になって思うと、陳腐な表現でも、あの頃は若かった。むしろ、幼かったと思う。
社会で生きていくのに幼すぎた私は、始めから終わりの見えている恋をした。
確か、二十歳を少し過ぎた頃だったと思う。
愛情と、優しさと、同情の区別もつかないような小娘だった私は、なんてことない隣人愛で恋に落ちた。
そして、考えなしな小娘だった私は、後悔したくないという一心で行動していた。打算的な私らしかったとつくづく思う。
結果は考えるまもなく玉砕し、美しい思い出の標本が出来上がった。
現在、私の部屋の壁には、そんな標本が何百と飾られていて、私を押しつぶそうとしている。