Jul 24 , 2008
雛菊の贈り物
short short story
半年前のある日、宅配便が届いた。
差出人の名に記憶はなく、そいつの住所はでたらめだった。
気味が悪いから、そのまま捨てようかと思ったけれど、好奇心が勝って中を確認することにした。
なー
中から出てきたのは、真っ白い仔猫だった。黄色い首輪をはめている。
「おいおいおいおいおい」
これは独り言。
何故、箱の中に猫がいる?生き物だろ、おい。宅配便で送っていいものなのか?衰弱死しそうな・・・。
「って、おいっ!」
箱に張られた宅配伝票を見る。聞いたことのない会社だ。検索。やっぱり。
「さっきの配達員もグルか・・・」
段ボール箱に猫を入れて、でっち上げた伝票を張って、それらしい格好で届ける。新手の悪徳商法みたいだな。
「どうするかな、こいつ」
なー
みー
ふあー
仔猫が走り回っている。雛菊は今もうちにいる。
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