Apr 21 , 1996
鴨川奇譚 第三話
story
「おはよう」
「…おはよう」
ソノコは寝起きが悪い。朝の機嫌は最悪だ。
昨夜ろくに寝ていないから余計だろう。
「コーヒー、飲む?」
「う゛ー」
引き剥がすように起き上がると立ち上がって伸びをする。
パジャマはないので、俺のTシャツを着ている。そういうファッションにも見える。
朝日の差し込む部屋で、角突き合わせてコーヒーを飲む。二人とも寝不足だ。
冬の朝のエンジンのように、ゆっくりと頭が回り始める。
「次こそは負けないんだからねっ」
びしっっとこちらを指すと、ソノコがいきなり叫んだ。
「賭けブラックジャック、今夜こそは取り返すんだからっ!」
ソノコは負けず嫌いだ。昨日夜通しでやったブラックジャックで負けたのがよほど悔しかったのだろう。
…今夜も眠れそうにない。
(完) ギャンブラー・ソノコ
comment form for this entry
Trackback URL this entry
http://color-chips.xsrv.jp/mt5/mt-tb.cgi/983