Oct 10 , 2008
孤室
short short story
だれも、いない。
私以外、だれも。
冷蔵庫のうなり声だけが、聞こえてくる。
みんな、どこへ行った?
講義室。
図書館。
実験室。
購買部。
みんな、それぞれにやることがあって。
みんな、それぞれの場所へ行った。
私だけが、ここにいる。
この部屋に、1人でいるのは苦手。
余計なことを考えて、余計なことを思い出す。
そして、必要のない悲しみに襲われる。
だから、この部屋に1人でいるのは苦手。
いつの間にか、死にたくなるから。
「眠かったー」
「あ、お疲れ様ですー」
この部屋に、1人じゃない。
しばらくは、生きていけそうだ。
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