June 2011

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鴨川奇譚 第四話

土曜日の午後9時、俺とソノコは京都市内の旅館にいた。朝一の新幹線で京都に来て、一日観光。明日も少し観光をして、夕方の新幹線で帰る。そういうプランを立ててある。

「少し散歩でもしよう」

ソノコを連れて外へ出る。明るく振舞ってはいるが、行きの車内からずっと何かを気にしていることは気付いていた。『途中で降りれば、家に戻れる。』きっとそれを考えていたのだろう。俺は気付かないふりをしていた。せめて今だけは、何も考えずにいて欲しい。
鴨川には、噂に聞くように恋人たちが集っていた。川辺に並んだ彼らを橋の上から眺める。

「暑い…」
「水辺はだいぶ過ごしやすいよ」
「だな」

橋を渡り川を越え対岸に渡る。どこから見ても恋人たちは大勢いて、川の流れは穏やかだった。

「ありがとね」
「ん?何か言った?」
「ううん。なんでもないよ」

それから来たときとは違う橋を渡り、コンビニに立ち寄ってから旅館に戻った。ソノコの白いワンピースがどうしてか、悲しかった。
目が覚めたとき、ソノコはいなかった。荷物もなかったし、布団もたたんであった。朝食の時間になっても戻ってこなかったし、チェックアウトの時間になっても同じだった。

「やっぱり…」

どうしてか、そう独り言ちていた。

選択肢
どうする? 探す  
       帰る
       諦める

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